第五幕

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 そんなことがあるのか、そんなに、あっさりと。人は意思を変えるのか。  これはまるで、まるで―― ――知っておろう、これは呪いだ。  ぞくりと、背中に悪寒が走った。  この体に流れる血が、大変恐ろしく感じられたのだ。 「健、本気で…言っているのか?」 「…。」  以前、爽矢さんが言っていた言葉がリフレインする。 ――いきなりわけのわからない生き物と渡り合え、そのために超人的な力をもった人間を制御してまとめろ。そんなことを普通の高校生が言われたらどうなると思う?混乱の極みだ。 ――お前も受け入れている。自分の異常な状況を。違うか? ――お前はわかっている。これは実際に行われる戦いだ。それからお前は逃れられない。  おかしい。  おかしい。  この家は、おかしい――。  自分はおかしくなっている。  そう頭ではわかっているのに――。なんで、抵抗感がわかないんだ。
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