第五幕

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「高兄。わかっているよ。俺は変だ。変なんだ…。でも、たぶん、あの紅緒って人もたぶん、自分が変だってわかっていた。そう思う――。」 「…それってつまり、自分の意志で動いてたわけじゃないんじゃ?」 「でも、日記を読んだんだろう?そこには書いてあったじゃないか。自分の意志だって。」 「…。」  そうだ、彼女の、紅緒さんの日記の最後のページ。   ――それは、私が決めたこと。誰からの指示でも、命令でもない。 ――この血の力なんて関係ない。  そう書いてあった。一体どういうことか、わからなかったけれど。 「あの言葉が気になった。俺も菊端ってやつをやれば、いずれその意味が分かるような、気がした。」 「…。」 「まあ現実感がまだわかないっていうのが、菊端になるのをオーケーした一番の理由かもな。」  現実感。なるほど。確かにそうだ。僕ら二人は知らない。姑獲鳥っていう生き物を。見たことがない。つまりは、やっぱり、どこか遊び感覚なのかもしれない――。  ならば、実際に姑獲鳥を見たことがある爽矢さんや爺様はどうなのだろう。見て、実際に戦ったことがある二人は、一体何を思っているんだろう。
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