331人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ
「高兄。わかっているよ。俺は変だ。変なんだ…。でも、たぶん、あの紅緒って人もたぶん、自分が変だってわかっていた。そう思う――。」
「…それってつまり、自分の意志で動いてたわけじゃないんじゃ?」
「でも、日記を読んだんだろう?そこには書いてあったじゃないか。自分の意志だって。」
「…。」
そうだ、彼女の、紅緒さんの日記の最後のページ。
――それは、私が決めたこと。誰からの指示でも、命令でもない。
――この血の力なんて関係ない。
そう書いてあった。一体どういうことか、わからなかったけれど。
「あの言葉が気になった。俺も菊端ってやつをやれば、いずれその意味が分かるような、気がした。」
「…。」
「まあ現実感がまだわかないっていうのが、菊端になるのをオーケーした一番の理由かもな。」
現実感。なるほど。確かにそうだ。僕ら二人は知らない。姑獲鳥っていう生き物を。見たことがない。つまりは、やっぱり、どこか遊び感覚なのかもしれない――。
ならば、実際に姑獲鳥を見たことがある爽矢さんや爺様はどうなのだろう。見て、実際に戦ったことがある二人は、一体何を思っているんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!