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健が菊端になると決めた。
そう教えても、爺様と爽矢さんは特に大きな反応は見せなかった。
爺様はそうかと、一言言っただけでだった。爽矢さんにはメールで知らせたのだが、「了解」と、その二文字だけ返ってきた。
そして再び、4人で集まろうということになり、とある週末、僕と健は本家に呼び出された。
本家の爺様の居室――。そこに呼び出された僕と健は一緒に部屋に入った。部屋には既に、爽矢さんと健也さんが座っていた。
健也さんは僕たちをみて柔和な笑みを口元に浮かべた。
「久方ぶりですね、若様。それに、健。否、もう菊端殿とお呼びすべきかな?」
そう呼びかけられた健は、困ったように笑いながら
「やめてください。」
とやんわりと断った。
健也さんが何故ここにいるのか――そう聞こうとすると、後ろの扉が開き、爺様と、その後に雄一さんが続いて入ってきた。
「雄一さん…。」
驚いて彼を見る僕に対し、健は視線で誰だと訴えかけている。
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