第六幕

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「哨戒士の、子ども?」  雄一さんの言葉を聞きなおす。  彼は表情筋をほとんど動かさず、ゆっくり頷いた。 「そうです。数百年にわたる姑獲鳥と哨戒士の戦いの中で、私は初めて、哨戒士の子どもと本家に認められたんです。」  思わずまじまじと彼を見た。正直、哨戒士の子どもだからなんなのかという気もする。しかし、何故か違和感があるのだ、その言葉に。なぜだろう?  そしてゆっくりと爽矢さんと健を見た。  ああそうか。僕の知る哨戒士は、みんな若い。日記でしか知らない紅緒さんも、目の前にいる二人も。  そんな哨戒士が、親だという感覚がないのだ――。
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