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一瞬意味が分からず僕の動きは止まった。
そんな僕をしり目に爺様が続ける。
「お前は初代高天の力を受け継ぐものや。それ故に、お前の父が当主代を務めていないのに当主を継ぐことが幼いながらに決まっとった。そして姑獲鳥を見張ることも、定められたお前さんの宿命や。」
「爺様…。そんなあほなことが…。それに生まれ変わりって、そんなんなんでわかるんですか。」
「…。」
「それに、信じられる訳ないでしょう。そんなバカげた話。爺様はどうして信じていられるんですか。」
「…。わしはな、以前に生まれた高天殿と交流があった。儂の武勇は先々代の哨戒士の一人から教えられたものや。その方はホンマに超人的な力を持ってはった。せやから、信じるも信じないもなかったんや。
お前には、信じがたいもんやとはわかっとる。しかしや、お前は間違いなく高天の生まれ変わり。」
「まってください。さっきの爺様の話では4人の哨戒士が生まれ変わるってことでしたよね。つまりさっき爺様が話してた能力が僕にあるってことですか?そんなもの、僕は持っていない!!」
そうだ、僕は平凡な男子高校生だ。
さっき爺様が言っていた竜のような力も、空を舞うことも、千里眼も並はずれた聴力も持っていない。
しかし爺魔は首を横に振った。
「違う。お前はさっき言った4人の哨戒士をまとめるものや。哨戒士は初代高天の式神の力を受け継ぐ者、高天はその呪を掛けたとき、自分自身にも呪を掛けた。さっき言うたやろう。高天も哨戒士ほどではないが生まれ変わると。」
「でも…そんな突拍子もない話、だれが信じるんや!」
思わず声が上ずった。胸がどきどきする。なんだこれは。
「僕は普通の高校生やで、なんで僕を当主に選んだんか、昔から不思議やった。でもそんな伝説まがいの当主なんて…。」
「高天!!」
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