第六幕

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 随分と饒舌だ。  だが、どこか抽象的な話だ。  もう少し詳しく聞こうかと口を開いたとき 「まあもう少し詳しくはまた今度話そう。今日はせっかく集まったんやから、本来の目的を果たさなあかん。」    爺様が遮るように言葉を挟んだ。 「本来の目的?僕と幹部のお二方との間を取り持ってくださるのでは?」 「それもある。やけど何より、未だ見つかっていない二人の哨戒士を探すためでもある。 今、儂らの知る限りは九頭龍、菊端の二人が哨戒士として姿を現した。 残りの二人――さっき話に出てきた胡蝶と、千里眼を持つ菖蒲をみつけにゃいかん。 候補を出したから、今日はそれを調べるんや。」 「調べるって、僕そんなに親戚に知り合いいないから、よくわかんないですよ。」 「かまわん、お前の知り合いかどうかで、哨戒士の如何は決まらへんからな。どちらかと言えばお前の直感が頼りや。なんや、お前ら哨戒士の間には儂らにはわからん強い絆のようなもんがあるようやからな。」 「絆…。」 「ともかく、ここに儂ら幹部で調べた、御剣家と神薙家の年頃の子らのなかで、哨戒士の可能性があるもののリストや。」  そういって差し出されたファイルを開くとそこにあるのは名前を羅列した表だった。  表に書かれているのは氏名と年齢、在籍している学校や部活動などへの参加状況、それに顔写真も添付されていた。 「うわあ…。よくこんなの調べましたね。」 「あ、こいつ知ってる。こいつも。」  横から健が資料を見て指差す。  健と近い年齢の男子だ。 「うーん。」  悪いけど、普通の男子に見える。  部活をやっているようだけど、特に派手な結果は出していないようだし。
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