第六幕

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 その他何人かの情報を見てみる。御剣歩、御剣一樹、御剣早苗、神薙郁人、神薙桔梗…。  なんとなく、僕はこの五人を選んだ。添付されている情報が派手な人と、なんとなく気になる情報が書かれているものをチョイスした。  僕が選んだ五人のリストを見て爽矢さんが唸る。 「ふーん。 この歩ってやつはかなり期待大だな。空手部部長。たしか御剣家の道場でも注目されている。胡蝶ではという話が出てた。 一樹は…へえ、数学オリンピック出場経験あり、ね。高校も進学校か。うへえ。 この早苗ってやつは中学校時代一度陸上の高跳びで全国制覇してる…。でもそれ以降は目立つ結果はだしてないな。 あとは神薙家…。この郁人(いくと)ってやつは俺も知ってる。御剣家・神薙家の道場には通ってないが、テコンドーでまあまあな成績か…。 ふーん。そんなに強かったのか。 桔梗(キキョウ)。こいつは武術はわからないが、かなり知能が高いし運動神経もいいってことでリストに残っているみたいだな。」 「へえ、これってキキョウって読むんだ…。」  横でぼそりと健が呟く。 「言っとくけどこれ、別に特別な読み方やないで。」  と爺様が苦笑を漏らした。  爽矢さんは手を ふって話を遮る。 「そんなのはおいとけ。 おい、高天。お前はこの五人のうち、誰が胡蝶で誰が菖蒲だと思っている?」 「えっ。」  うん、困った。実はあんまり考えていなかった。  つまり適当…。 「うんと、なんとなく、すごそうな人選んだだけなんですが…。」  だんだんと言葉尻が尻すぼみになっていく。  しかし、爽矢さんは僕の返答に対しあっさりと 「そうか。」  とだけ言った。 「だがあたりはつけよう。この五人の中で胡蝶の可能性があるのは歩、早苗、郁人の三人。もしかすると桔梗もって感じだな。 菖蒲は…どうだろう?」  すると健がそっと口を開いた。 「あの、菖蒲って目がすごいひとですよね。」 「そうだな。動体視力と千里眼の持ち主だ。」 「じゃあ、俺と同じように、力が操れなくて苦しんでる人なんじゃあ…。」
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