第六幕

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 誰を待っている?  誰がやってくる?  わからないけれど、きっとその人はくる。その確信だけはあった。  そんなこと、周りには言えない。奈々子には言えない。  秘密にしておかなくてはならないことだ。そんなことは高校生にもなればわかる。  そんなことを言えば、きっと変な目で見られる。  変人扱いされて陰口叩かれるのが落ちだ。  そんなことをぼんやりと考えていると、不意に奈々子がこちらを振り返った。 「で、大会はどこで、いつすんの?」 「来週、西京極。土曜日やね。」 「西京極?阪急沿線やね。ちょっと遠いか…。」  そういって顎をなでながら考え込む奈々子に溜め息が漏れる。  こいつ、ちょっと本気で見に来る気や。  ミーハーというのは困ったものだ。  しかし、こんなに男に目移りしてるのに、彼女は男女両方から人気があるのだ。不思議なことである。まあこの子の性格がいいからだろうが。  
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