第六幕

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 副種目ででた円盤投げはもちろん予選敗退となり、本番のハイジャンプは無事本戦進出が決まった。  午後からの本戦に備え、体を休ませる。  ふと後ろから声をかけられた。 「どうや?」  奈々子のお気に入りの部長だ。 「ええ、いい感じです。」 「そうかー。がんばれよ!目指せ2m越え。」 「無理です。日本新更新でしょ、それ。」 「そうか?でも全中応援に行ったとき、それくらい跳んでたように見えたんだよ。バーに引っかからなけりゃなー。」 「そんなこといっちゃったらみんな2m超えますって。」  中学の時も部活の先輩だったこの主将は、あの日も母校の応援に来ていた。そして私のジャンプを見てから、過剰なまでに私に期待しているのだ。  軽く一言二言会話して部長はその場を後にする。おそらくほかの部員の様子を確認に行くのだろう。     脚の状態を確認する。うん、良好。  あ、シューズの紐がほどけてる。しゃがんで結びなおそうとしたその時だった。ちりちりと、首筋が焼けるような感覚が走った。反射的に左手で首筋を抑え、後ろを振り返る。  なんだ?    何か強い視線のようなものを感じた。誰かがこっちを見ていた?  誰が?  ――何が?
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