第六幕

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  『014番、1メートル60。お願いします。』  申し込んでいた通りの高さでゼッケン番号が呼ばれる。横からチームメイトがトントンと肩を押した。  いかなければ。  でも、どうして?目が離せないんだ。彼から。彼もなぜかまっすぐこちらを見つめている。なんとか足を動かす。 『1メートル60.一回目です。』  こちらが助走開始地点についたのを見てアナウンスが流れる。ふうと息を深くつき手を上げる。 「行きます。」  最初は大きくステップし、バーに近づく。  あの少年が向こう側に見えた。  小股になり、歩数を調整する。  踏込み、身体を大きくひねる。  いつもより強く踏み込んだ。  いつもより大きく身体を伸ばした。  あ。だめだ。  ちゃんと力を抑えられない。  羽が生えたみたいに身体が軽い。  浮き上がっていく。  ああ、飛んでいく。  
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