第一幕

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「僕にその…4人を探せと言いましたね。」 「哨戒士や。」 「そうそれ。どうやって見つけるんですか。それに、その姑獲鳥とかいう化け物はいつ活動をするんです?見た目はどんなものなんです?」  その僕の質問に爺様は答えてくれた。 「姑獲鳥の見た目に関しては絵で示されているものがあるが、これはかなり誇張されとる。えっと、ああこれや。」  そういって近くの棚を探って一冊の書を取り出した。  真ん中あたりのページを開くと、そこには大きな目玉の女の絵が描かれていた。女は両手を広げ、その腕は翅のようになっていた。足は鳥のそれに近く、人間の赤ん坊をつかんでいる。 「これが姑獲鳥。さっきの伝説では綺麗な女の人って…。」 「せやからこれは誇張された図や。儂の知っとる姑獲鳥は人間と全く大差ない見た目や。」  その言葉に思わず顔を上げた。 「爺様、姑獲鳥を見たことあるんですか?」 「まあな。殺されかけたこともある。実際儂の師匠は姑獲鳥の爪にかかって忌んでもうた。」  そういって少し目をそらす爺様に気付かないふりをした。眉尻の下がった爺様は、なんというか違和感がある。  爺様は額を掻くふりをしてそっと手で顔を隠し、もう一度まっすぐ僕を見た。 「あと活動時期やな。大体三、四十年に一度や。初代高天の不完全な呪いのせいか、姑獲鳥はその周期で活動し、また眠りにつく。儂ら御剣家が確認した中で最も最近の活動は高度経済成長のころや。  それから、どうやって哨戒士を見つけるかやな。そのことに関しては助っ人がおる。安心せえ。」  そういって爺様が告げた助っ人の名前。それは一族でも有名な人物だった。
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