第六幕

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「僕を…待っていた?」  僕がそう聞き返すと、彼女ははっとしたように自身の口を押えた。 「私は何を――。」  その様子を黙って見てた爽矢さんは三白眼をさらに細め呟いた。 「なるほど。記憶はないようだが、胡蝶としての使命感はきちんと受け継いでいるようだ。やりやすくていい。」 「爽矢さん!」  思わず強い口調でそういさめるなんだかとても失礼なことを言ったんじゃないか?  だけど気にする様子はなく爽矢さんは続ける。 「この後、御剣家本家に来れるか?」 「え?」  聞き返す早苗さんに再度爽矢さんは問うた。  早苗さんは訝しげな表情を浮かべながら頷いた。 「じゃあ夕方に本家で話そう。お前の知りたいことを知ることが出来るぞ。」  それだけ言うと、爽矢さんはくるりと出口の方へと向かいだしたのだ。 「ちょっ。爽矢さん!」  僕と健は慌てて爽矢さんを追いかけた。  後ろを振り返ると、早苗さんはじっとこちらを見つめていた。その様子を真っ黒な鴉が見つめていた。
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