331人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ
――――――
――――――――――
鴉が飛ぶ。広い空を。その鴉は森の中に消えていく。そしてその木々の影にたたずむ二人の頭上にとまった。
二人の内、小さな影の者が口を開いた。
「哨戒士が3人揃った。」
「ええ。」
「…そろそろかな。」
もう一人はわずかに眉根に皺を寄せた。
それを背中で感じたのか、
「お前がそんな顔をする必要はない。お前に傷は負わせない。」
「そんなことを考えているのではないのです。わかっていただけないのかもしれませんが。」
「…お前は変わらないねえ。」
そういって小柄な影は薄い唇をわずかにゆがめた。
そして空を見上げ呟いた。
「高天よ。これで最後にしよう。我らの呪われし宿命を。」
その声は木々のざわめきに紛れてしまう――。
最初のコメントを投稿しよう!