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指を組み真剣な表情を作る爺様。
「高天の勘が働いたようで、無事胡蝶が見つかった。あとは菖蒲のみ。」
「ああ。何とか間に合ったな、姑獲鳥の活動開始前に。」
爽矢さんが頷く。そのやりとりを不思議そうな表情で早苗さんが聞いている。
そうだ、彼女にはまだ何も話していないのだ。なのに姑獲鳥や菖蒲なんて言葉を使っても混乱するだけだ。
まずは状況を説明いないと。
「あの、えっと早苗さん。改めて自己紹介させてください。僕は御剣高天。一応、この御剣家の次期当主ってことになってます。そして現当主の爺様――修二郎様です。あと、こちらの背の高い方が――。」
「神薙爽矢。」
順々に紹介していく僕の言葉を引き継いで爽矢さんが口を開く。
「で、こっちの中学生が御剣健。」
「あ、どうも。よろしくお願いします。」
健も黙ったまま会釈する。顔色は未だ悪い。やっぱり騒々しい場所に長居すると音酔いするようだ。
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