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そんな健にお茶を差し出しながら、爺様が話を始める。
「まあいきなりここ来るよう言われて、早苗さんもびっくりしとるやろう?まず順番に儂らのことを説明させてくれ。」
そうしてまず爺様はこの家の成り立ち――初代当主京極高天が姑獲鳥という化け物と戦い、その子孫である僕らにその戦いが受け継がれていることを説明した。そしてこの御剣家には数十年に一度哨戒士という、姑獲鳥に対抗できる力を持った人間がうまれるとことも。
その説明を受けた早苗さんは口を半開きにしてその話を聞いていた。
「なんか――その、おとぎ話みたいですね?」
そんな感想になるのも無理はない。僕も最初は本当の話とは思えなかったし、今だって半信半疑な部分が多い。
爺様はその早苗さんの言葉にゆっくりと頷いた。
「確かに、本当の話とは思えへんことやろうな。でもあんた、高天の名前を聞いて“待っていた”言うたんやろ?」
「それは!えっと…なんか自然と口をついて出たというか、なんというか。」
しどろもどろになる早苗さんに爽矢さんが話しかける。
「なあ、あんた気が付いてたんだろう?自分の中にある力に。今の話を聞いてこう思わなかったか?自分はその哨戒士なんだろうって。」
「…。」
その言葉に、彼女は黙りこみ、下を向いてしまった。爽矢さんが畳み掛ける。
「あんた、中学の時陸上で全国出てるよな?なのに高校からはさっぱりの成績しか出してない。スポーツ推薦の話も全部蹴って今の公立高校にいる。それって、自分の力を過度に抑え込んでいるからじゃねえのか?うん?本当は自分の力は異常なものだってきがついている。そうだろう?」
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