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「じゃあ残るは菖蒲だけだな。くそ。厄介だ。」
爽矢さんは眉間に皺をよせ舌打ちをした。
それに対し、爺様は苦笑をもらし肩をすくめた。
「ははは。あんたはあの方が苦手やからな。」
爽矢さんと爺様の会話に、僕はついていくことが出来なかった。
厄介?
あの方?
どういうことだ?爺様の言い方は、まるで菖蒲が誰か知っているかのようだ。でも、それならどうして?爽矢さんは“残るは菖蒲だけ”って言ったんだ?
爽矢さんの口ぶりからは、爽矢さんも菖蒲が誰かわかっていないと察せられる。でも爺様の言葉からは、爺様と爽矢さんは菖蒲という人物を知っているように聞こえる。
一体どういうことだ?
「二人は、菖蒲が誰か知っているんですか?」
僕と同じ疑問を感じたんだろう、健が口を挟んだ。
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