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「あの…。」
「おう、すまへんな。早苗さん。ほったらかして。あんた、今色々聞きたいことがあるやろう?今言うてくれてええんやで。」
爺様にまだ緊張している様子の早苗さんは少し言葉を詰まらせた。
逡巡した後、言葉を吐き出した。
「えっと。私はどうしとけば?あと菖蒲ってさっきの説明にあった、哨戒士の一人ですよね?」
「ああ、菖蒲は千里眼を持つ哨戒士や。あの方は爽矢の言う通り、個人主義の人やがその分仕事もきちんとする。あの方が出てこうへんとどうにもならんことが多いしな。せやからあの方が出てくるまでは小休止やな。あんたは自分の力の操り方を学んでおけばええ。
胡蝶の力のコントロールはこの爽矢に訊くとええやろう。同じ力型の能力や。」
「実際先々代の時の俺は胡蝶に力の手ほどき受けたしな。感覚機能が優れている菖蒲と菊端と違って、俺らは純粋な力の増強が能力の本質だからお互い共通していることが多い。何かあれば聞いてくれ。」
爽矢さんの言葉に、早苗さんは曖昧に頷いた。
「それで、その菖蒲っていう人が現れるまで待っておくんですよね。」
「ああ。」
「でも、その前に、その姑獲鳥っていうやつが何かして来たらどうするんですか?」
確かにそうだ。僕らは姑獲鳥と戦うために哨戒士を集めている。最後の一人を待っていて姑獲鳥に攻撃されたら笑えない。
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