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確かにそうだ。効率性だけを考えるならば、密かに人間社会に入り込んで食べるほうが効率がいい気がする。
「まあそういう時代もあったようやけどな。最近になって変わってきよったみたいやな。
儂の師匠の言葉を借りるならば、“狩りから畜産へ進化を遂げると、娯楽としての殺しを求める”。そういうことやろ。」
「どういうことです?」
「人間はかつて狩りをして腹を満たしてた。
そのうち安全な畜産という手段を確立する――。やけどそののちも人は剣闘士や闘犬で血を見ることを好みあまつさえ自ら狩場に出て鳥を娯楽で仕留める。それと同じことを、奴らもしているんだろうってことや。」
娯楽――。
娯楽で人を殺す?
今まで抱いていた姑獲鳥のイメージというのは人間の姿を借りた化け物だった。しかし、娯楽で殺人を犯すだなんて――。
それこそ悪魔そのものだ。
そんな僕の額を軽くデコピンではじき、爽矢さんが深いため息を吐いた
「厄介なのはあいつらのお頭さ。
人間並み――否、長生きしてる分知識としては人間以上の頭脳を持ってる。
昔こんなことを言っていた奴がいた。“あれは神様みたいなものだ”って。」
それを聞いて健は眉根を顰め、
「神様?悪魔じゃなくて?」
うん、それ僕も思った。聞いている限り、これは悪魔だろう。
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