第七幕

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 * * *  約束の日、上賀茂神社の鳥居横で僕は深いため息をついていた。 「ほんとに馬やーん。」  小柄な白い馬が一頭、繋がれていた。どうやらここの神馬らしい。 「こんなのいたんだ、知らなかった。」 「俺も。」  僕の横で健も頷いた。  今日は、結局僕と健、そして爽矢さんの3人で、"封印"というものを見せてもらうことになった。  一足先に集合場所に着いた僕と健。  最初は爽矢さんのいっていた馬とは何か全く分からなかったが、上賀茂神社にやってきてすぐにわかった。大鳥居井のすぐ脇に白い馬が確かにいた。  上賀茂神社。正式名称を加茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)。平成6年には世界遺産にも登録された由緒正しい神社だ。  ただ、清水寺や金閣寺に比べると、観光客からの人気は低い。  それはおそらく、見た目のパンチのなさとこの立地の所為だ。公共交通機関を利用しようとすると、バス利用が必須だ。バスの本数は多いほうだろうが、それでも不便といえば不便だろう。  清水寺や八坂さんのように繁華街や土産店も多くない。  神社としてはかなり立派な佇まいだが、金閣寺のようなもの珍しい派手さもない。  ただ、日本最古の祭ともいわれる、葵祭の行列の到着地だから、その時期は本当にすごい人がやってくる。
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