第七幕

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 ちなみに僕はここのすぐ近くにある今井食堂の鯖煮が好きだ。幼少期、爺様はよく僕を上賀茂神社に連れて行ってくれた。  僕がそれを嫌がると、今井食堂の鯖煮で釣って連れ出していた。  懐かしいものだ。  最近食べていないけど、味は変わりないだろうか。  今日の帰りが遅くならなければ、買って帰ろう。  ぼんやり考え事をしていると後ろから声がかかる。 「おお、早いなあ。お前ら。」 「爽矢さん。」 「ちわっす。」  紺色の袴姿に、羽織りを羽織った爽矢さんがそこに立っていた。彼はきょろきょろあたりを見回し、 「早苗は?」 「来てないです。部活だって。」 「先週大会だったのに?忙しいねえ。」  そういいながら頸の後ろを軽く掻いた。 「まあいい。行こう。」     「どこに?というか爽矢さん、その恰好…。」 「うん?ああ、一応九頭龍としての正装できたんだ。」  正装――。そんな大層なものなのか?というか神薙家からここまでこの格好できたのか? 「一応言っとくが、社務所で着替えさせてもらったからな。」 「心を読まないでくださいよ。」 「いや、顔に出てるから。」  爽矢さんは息をひとつ吐いた。  そして封印について説明をしてくれる 「この封じの儀は、京都洛中を守るために四方に施されている。」 「四方?東西南北ってことですか?」  僕が尋ねると爽矢さんは頷いた。
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