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「俺…ですか?」
「ああ。
青龍の東は九頭竜、朱雀の南は菖蒲、白虎の西は胡蝶。
なんでそういう順序に封じたのかはしらんが。
まあ、ともかく4つの力は四方にちりばめられた。その封印の上塗りを定期的に御剣家ではやっているんだが、それに必要なのが哨戒士の一部なんだよ。」
哨戒士の一部?それって
「血液とかですか、もしかして…。」
「いや、神社に血を流すってのはさすがに駄目だからな――。髪が一般的かな。先々代のときの俺もそうしてたし。」
説明をしながらどんどんと神社の中を進んでいく爽矢さん。それに自然な流れで僕たち二人は追従する。
「4人の哨戒士のうち、誰がどこをやっても別にいいみたいでな。基本的には早めに哨戒士だとわかったやつがやることになっている。だから、前の代の記憶を引き継ぐ菖蒲がやってることが圧倒的に多かった。」
「具体的に、封印って何するんですか?」
「人がなるべく踏んでいるであろう場所を見つけてそこに哨戒士の一部――今回は髪の毛だな――を供えて、九字を切る。簡単だと思うだろうけど、これ結構厳しいんだよ。まず、一目を避けたいのに人が踏んでいる土を探さないといけないから。」
なんだかへんてこなルールだな。
封印って、ちゃんとそういう儀式の場所があったり、本殿でやったりするものじゃないのか?
「なんで、人が踏んでいる場所じゃないといけないんです?」
「理由はいくつかあるらしいが、一番重要な理由は、人が踏んでいるってことはそれだけ畏怖が込められた土ってことだからだ。
前にも言ったかもしれんが、日本の神は人々から畏怖されるから神になる。
畏れられ、敬われるものには力が宿る。
この封印はそういう人々の畏怖の念を利用するんだそうだ。」
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