第七幕

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「じゃあ、菖蒲の人もすぐ見つかりますか?」 「いいや。そうとは言えない。あいつの性格を考えれば、俺たちの前に姿を見せるつもりなら、封印をしたりしないだろうし、もっとわかりやすい印を残すはずだ。それにさっきの封印の跡を見る限り、あいつ態々、俺がした封印の上にさらに重ねて術をかけてる。 じゃあなんでこんな形で自分の存在を俺たちに見せつけた? 隠れるつもりなら隠れていればいいのに。 考えられる可能性は"自分はもう目覚めているが、少し好き勝手にする"って意思表示?もしくは俺の(まじな)いを補完するためか?」 頭をかきむしりながら考えをまとめようと必死な爽矢さん。僕はさっきの光の輪の跡を探すよう、空を見上げたけれど、青い空にはただ雲が流れていくだけだ。 まだ見ぬ菖蒲という人はどんな人なのだろう??男だろうか。女だろうか。歳は? 爽矢さんは癖がある人だと言っていた。その癖のせいで僕らの前に姿を現してくれないのだろうか? そんなこと、僕がどれだけ考えたって答えが出るわけもないんだけれど。 ーーーーーー ーーーーーー  
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