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「集合!」
夕暮れ時のグラウンドに部長の声が響き渡る。それまで練習に精を出していた陸上部メンバーがその声に反応して一斉に集まり出した。
部長を中心に円形になる。部長はみんなが集まったかを確認して口を開いた。
「よし!今日の練習はこれで終わり。クールダウンして解散だ。一年は片付けな。」
「「はい!」」
「いいか、総体でるメンバーは特に入念にやれ。本番前に怪我したら笑えへんぞ。」
「「はい!」」
「あと、御剣!」
「はい。」
私の方に視線が集まる。中にはあからさまに敵意を持ったものもある。
「お前、なんであんなことなったのに総体メンバーに入っとるか分かってんな。」
「はい。」
高校総体の陸上は学校対抗なので、自分も連れて行ってもらえることになった。辞退したとはいえ、女子高跳びの5位に入ったのもあったのだろうが、いつもなら、地区大会は5位前後、全国はボロボロな私をメンバーに入れたのやはりあの異様なジャンプを部長が目の当たりにしたからだろう。
「あんなジャンプ最初にかましよってからに。それで衝撃強すぎて気分悪なったとかありえへんからな!ちゃんと調整しろ!」
「はい。」
女子部員の内数名が意地の悪い笑みを浮かべている。だが私の心には何も響かない。
「お前のあの時のジャンプがあれば、全国でも全然やれるんやからな、いい状態でいろよ。」
「わかってます。」
「怪我厳禁!」
「はい。」
「終わった後、内緒で練習するんはいいけど、セーブかけろや。」
「…。」
ばれていたとは。まったく目ざとい。さすがだ。
それでも私は少し確かめてみたいことがあるのだ。
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