第七幕

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 私がここに来るまで5分とかからなかったはずだ。その間にここにいた人が東側階段から降りたのなら、自然に歩いて帰ったんじゃなく、急いでいたはずだ。  2階で渡り廊下を使ったのだとしたら、態々そんなことをしたのは何故だろう。  渡り廊下の先にある北校舎は、音楽室や図書室がある。なのでこの時間だと吹奏楽部が使っている。さっきここにいた人は吹奏楽部だったのか?ここで練習していて、練習が終わったから音楽室に戻った?  でもそれなら楽器の音が聞こえてきていたはずだ。あの人は少なくとも私が1人練習していた10分間ほどは楽器を演奏していなかった。  否、そもそもずっとあの教室に明かりがついていたならさすがに私も気が付いたはずだ。あの瞬間だけ明かりがついたのだ。  ならば偶然この教室に入った人?でも、ならなぜすれ違わなかった?偶然ここに来ただけなら素直に東側階段を使って1階まで降りればいいのに  最後に中央階段を使ったという説。中央階段を使って階下に降りるのは校舎の端にあるこの教室からだとかなり手間がかかる。態々そんなことをするのはどうして?  私に考え事は性に合わない。  ともかく一度中央階段を使って下にりてみよう、もしかしたら誰かいるかもしれない。
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