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「金持ち嫌いは変わらずか…。」
「金持ちは嫌いやないよ。自分で金稼いでもないのに偉そうなんが嫌いなん。」
えっへんと腕を組み胸を張ってそう言い切る亮介。
言っていることは立派に聞こえるが解釈の仕様によってはただのひがみだ。
「言っとくけど、僕も結構大きな家の出なんだけど。」
「そんなん知っとるわ。でもお前別にそんなん鼻にかけてへんやん。今日も見事にユニ●ロで上下揃えてるし。」
最後のほうは少し馬鹿にしたような口調で僕のカッターシャツを引っ張った。
「やめろよ。いいじゃん。高い服だと汚したとき嫌じゃん。」
「貧乏くさい…。なんやお前んち、めっちゃお小遣い少ないんか?」
「うーん。別にめっちゃもらうわけじゃないけど…。」
うちは父が婿養子なのだが、父は母をうまくコントロールしてごくごく一般的な家庭の水準で生活させようとしているので、正直そこまで非常識な金使いはしていないと思う。
まあ、そもそも一般的な家庭の生活水準なんて、よくわかってないけど。
ただ、父も父方の祖父も派手なファッションやブランドものへの興味が少なく、機能性を重視する傾向にあったので、自分もその傾向を受け継いでいるのだと思う。
だからこそ、別に安物でも色味が変じゃなくて動き安ければ服はそれでよしと思ってしまう。
「で、話は戻すけど…。彼女が欲しいってこと?」
「ざっくりまとめよったな、お前。まあ端的に言えばやな。」
「男の子だねえ。」
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