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そこには15人程度の男女が居て、指をついて頭を下げている。その間を爺様を先頭に歩く。そうすると順番に頭を上げていく。まるで大奥みたいだ。
末席には瀬奈さんが健也さんと並んで座っていた。
上座に近づくにつれ、幹部の年齢層が上がっている。
上座に爺様が座り、僕がその横に座った。爽矢さんは入口反対側の上手に黙って座る。後の二人はどこに座ろうかとまごついたが、すぐ爺様がフォローしてくれて爽矢さんの正面、入口側の上手に座った。
落ち着いたところで、爺様が声を張る。
「さて――。今日は初めて、今の哨戒士を招いた。九頭龍以外の哨戒士や。
まずは菊端。御剣健。そして胡蝶は、同じく御剣家から早苗殿。
そして久しぶりにここに来た――高天。」
途端、僕に皆の視線が集まる。
「三人にまず挨拶願おうか。」
そうして爺様は視線で僕らに発言を促した。
「えっと、見知った顔もありますが初めてお会いする方もいますね。高天です。よろしく。」
「健です。」
「早苗です。」
値踏みするのにジロジロ見られて居心地が悪い。そんな僕の背中を爺様は軽く叩いて、再び声を張った。
「今日は今の状況の確認と、今後の哨戒士たちの動きを決める。
皆に既に伝えているが、菖蒲はまだ現れとらん。
引き続き探しとるところや。」
「しかし御当主。菖蒲様は代々記憶を持って生まれてくる。その菖蒲様が現れないというのはあえて姿を隠されているのでは?」
列の中ほどに座る中年の男性が口を挟んだ。それに何人かが同調する。
「確かに。何か戦略あってのことかも知れへん。無闇に探すんは菖蒲様の意に背くことやも。」
「そやそや。」
「しかし菖蒲様無くしては我らにできることは限られる。」
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