第八幕

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 するとその様子を見ていた上手に座る老人が口を開いた。 「巌先生。否、九頭龍殿。 どうか怒りをお収めください。 貴方もよう知っとるでしょう。菖蒲様は大局を見るあまり儂らには理解しがたい考えを巡らせる。」  老人の言葉に幾人かがうなずくが、老人は彼らを睨みつけ牽制すると続ける。 「歳をとると、理解できんもんは”それが間違っている”と考えるんが人間や。 しかも儂らの記憶にあるあんたらはいつだって若い姿。その当時はあんたらより若僧やったのにな。儂らはついついあんたらを若者と侮る。 愚かな儂らを、どうか堪忍してください。」  爽矢さんは静かにその謝罪を聞いていた。  そしてゆっくりと言葉を紡いだ。 「…すまんな。少しきつい言い方をした。確かに先々代の九頭龍からすればお前らは自分の弟子の世代だが、お前らにすれば”俺”はただの若僧と違いないな。それは十分に理解していたつもりだったんだがな…。」 「ふふ。あんた、儂のことも完全に餓鬼扱いやしな。」  爺様が爽矢さんに突っ込むと、爽矢さんは気まずそうにそっぽを向いた。  よかった、幾分か空気が和らいだ。  僕や健、早苗さんだけでなく、若手の幹部たちもほっとした表情を浮かべたのが分かった。
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