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「まあ、いろんな考え方があるのは認める。認めるが菖蒲様の必要性は高い。
せやから引き続き菖蒲を探す。それが儂の考えや。」
強い口調で爺様はそう宣言し、皆を見回した。今度は誰も文句は言わなかった。というか言えない様子だった。
「だが肝心の菖蒲様はどこにおるんやか。」
「全くや。候補になりうるものはみんな調べた。」
「否、候補に挙がらなかった者の中にいた可能性もある。能ある鷹は爪を隠す、あの方も目立たないようにしていたのだろう。」
「つまり振り出しか。あの方も何を考えているんだか。」
何人かは眉間にしわを寄せている。また話が振り出しに戻りそうだな。それを感じ取ったのか、爺様が背を伸ばし声を張る。
「そんなもんは考えるだけ無駄や。面倒やけど、もう一回候補者を絞るで。今度は目立つ功績のないもんもよう調べてもらいたい。」
「そうなると、御剣と神薙合わせるとかなりの数になりますな。」
「しゃあない。すまんが頼む。
調査のほうは、健也、雄一が主導でやれ。瀬奈も手伝どうてやれ。」
「承知しました。」
「御当主の命とあらば。」
3人はそれぞれ頭を下げて命令を承諾した。
爺様は続ける。
「とりあえず候補者洗え。10代から20代の女子全員、その身元や不自然な点はないか調べろ。」
「え?」
素っ頓狂な声を、ついさっきまで緊張で息もまともにできてなかった早苗さんがあげた。みんなの視線が一斉に彼女に集まる。
それに狼狽えて、彼女は顔を下げてしまった。
「どうしたんや?早苗はん?」
爺様が優しい声音で尋ねる。
早苗さんはゆっくり爺様の方を見て、しばらく逡巡する素振りを見せた。
「えっと、あの。なんで女子だけなんだろって思って。」
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