第八幕

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「まあ確かに…。それが一番手っ取り早いが。袂がそれを了承するかどうか。」  貴司さんは言葉尻を濁した。 「そんなこっちに拒否的なやつやったんか。袂は?」 「もとはそんな男やなかったんですがね。いつの間にかとんだ人間不信になってしまったんです。せやからそんな奴があの子を引き取ってもええって言いだしたんは驚きでした。」 「やけどうちの事情はよう知っているんやから押せば協力は得られるやろ。」  爺様の言葉に乗り気がしないといった表情の貴司さんだったが、最後には袂さんに桔梗さんのことを聞くことを了承した。もうすぐ夏休みなのでよほどの理由がない限りことは早く進むと志鶴さんは言っていた。  菖蒲についての話し合いはそこでいったん終了し、次の話題――姑獲鳥の動向に移った。
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