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そして爺様は脇に置かれた書物から数枚の写真を取り出した。
「それ以降何度も、哨戒士は生まれ変わった。高天の力を受け継ぐものも。
儂が知っとるんは先々代の高天のことや。儂があんたらに記録以上のことを話せるんはそれだけーー。それでも聞きたいか?」
「勿論。」
僕が頷くと、爺様は取り出した写真を見えやすいように手前に置いてくれた。僕と他の3人が同時に覗き込む。
それは古いモノクロ写真だった。5人の着物を着た男女が写っている。
中央には股を開いて腕を組み、顎が上がった、尊大な印象を与える男性が座っていた。まだ若いだろうに、そんな風に座っているから、なおのこと生意気な印象を与える。
その右横には大刀を持った高校生くらいの男の人が立っている。さらに右の端には髪を後ろで纏めた女性がまっすぐこちらを見て立っている。柔らかい表情で、年の頃は20代半ばくらい。
真ん中の男性の左には厳しい表情をした坊主頭の男、その隣にには顔の下半分を黒い布で隠した細身の女性が立っている。
爺様の皺だらけの指が真ん中の男性を指した。
「これが高天や。」
この偉そうな人が高天。言ってはなんだが、自分に似ているとは到底思えない。
「全然高兄と似てない…。」
健も同じことを思ったようだ。ぼそっと呟く。
「そうやな。儂もそう思う。儂の記憶にあるこの時の高天殿は、尊大で下のものにえらく厳しい方やった。
幼かった儂は廊下で高天殿にぶつかって蹴り飛ばされそうになったことがある。師匠がかぼうてくれたが、高天殿は師匠にも“お前がちゃんと見ろ”といい、肩をおしとった。」
「兎も角わがままだった。東京の学校に一時行っていたからか、標準語を話すことを俺たちに命じた。東京は、軍事的な人脈を広げるためと、元々の傲慢な性格を矯正する目的で菖蒲が行かせたに過ぎないのだがな。」
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