第九幕

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ーーーーーーー ーーーーーーー  彼は先程見たあの男の子の姿を頭の中で反芻していた。  見た途端にすぐあの子が「彼」だとわかった。同級生の後ろでこちらを見つめる目は自分にまっすぐ向けられていた。  なるほどあれがーー。  正直思っていたより普通だ。クラスの中心に立つような華やかさも、剛力で周りを支配する力強さも感じない。ごく一般的な高校生男子という印象だ。  彼が本当に強大な力を秘めているとは、到底感じなかった。    でも変わらない。自分がすべきことは。あれは彼にとっては絶望を運ぶ黒猫で、彼がどんな人物でも彼の行動を変えることはない。  顔を上げると鷲か鷹のような大きな鳥がこちらに向かって飛んでくる。そして頭上で数度旋回した。合図だ。行かねばならぬ。目的のものが見つかったようだ。彼は僅かにその口角を上げた。  思ったより時間はかかったが、その合図は確かに彼が目標に近づいたのだということを示していた。  必ず、果たす。己に課した誓を。  決意を新たに、彼は肩にかけたハードケースを担ぎ直した。自分の守るべきものを守るために。 ーーーーーーー ーーーーーーー
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