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議論は進まない。当然や、肝心の哨戒士ががここにいないんやから。
「どちらにせよ、他の哨戒士らを見つけなあかんわ、今のところどないな感じなんや?4人がそろわんとなんにもなりゃせん。」
口を挟めば雄一がすぐ答えた。
「御剣家の年頃の子らを今調査していますが、現段階ではまだ見つかっていません。」
「神薙でも同じです。まあ今のところ道場に通っている子どもやその兄弟姉妹たちしか確認はとれていませんが。」
健也も後に続く。他の幹部らがそれにまた唸る。
どうしたものかと隣同士でまた勝手に話をしだす。不安がこの場にも蔓延しているのがわかる。
それも無理からぬこと。
ここに居る幹部のほとんどが、かつて哨戒士らに師事し、姑獲鳥と対峙した者。恐怖の記憶は不安を増長させる。
この様子にようやく爽矢が居住まいをただす。
「落ち着かれえ、皆様。」
凜と通る声で注目を自身に集める。さっきまでのだらしない姿からは想像も出来ぬほどの迫力や。流石やな。
「今、4人の哨戒士の内、見つかってへんのは菖蒲と胡蝶。しかしこれは実質一人だけや。何を慌てることがある。
菊端のことも、俺ができる限りのフォローはするし、しばしの間は春子殿に頼めば十分。春子殿なら先代菊端がどのように力を操っていたか知っているやろう。
どうや春子殿?」
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