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声をかけられた春子はその能面のような顔を爽矢に向ける。
「…私ですか。」
春子は今年50になる。先代菊端と近い位置にいた者の一人。先代菊端と同時期に御剣の道場にいた女性や。
なるほど、適任やろう。
春子はふうと息を付き
「確かに先代菊端様と共に私は姑獲鳥と対峙いたしました。
そして運よく生き残った…。しかし菊端様より力の制御方法を聞いたことはありまへん。」
突き放したような言い方や。しかし春子は先を続ける。
「それより、私は清子さまとその新しい菊端様とを会わせることをお勧めさせていただきたい。」
「清子…?」
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