第一幕

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「それは、なにかの謎かけでしょうか。」  意味不明な爺様の言葉に思わずかみつくような言い方をしてしまった。 「ああ、すまんすまん。儂が言いたかったんはな、お前の名前の由来を覚えてるかってことやってん。」 「名の由来?確か御剣家に語り継がれた名前じゃありませんでしたっけ?」  昔爺様がそんな話を僕にしてくれたように思う。昔から当主が受け継ぐ名前だって言ってたように思う。 「ああ、だが儂の名前は高天ではない。」 「ああ、そうですね。」  爺様は確か修二郎という名前だった。 「儂は今は当主を務めているが、それは仮や。お前が現れるまでの。」 「僕が現れるまで?」  オウム返しする僕に困ったような微笑みを返し、爺様は顎を撫でた。 「そう。お前さんや。お前こそ真の当主やから。」 「なんですか、それ…?爺様は当主じゃないってことですか?」  僕の問いかけに爺様はゆっくりと頷いた。  そうして僕に語ったんだ――。我が御剣家の過去について。
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