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眼鏡をかけた壮年の男性は京太郎というらしい。誰だろうか。少なくとも一族の集まりで見たことはない。
ぼんやりと彼を見ていると僕の視線に気が付いたのか、こちらに顔を向ける。鋭いその目つきに思わず息をとめた。
「これが、御剣高天や。」
「あなたが、高天様。」
「は、はい!み、御剣高天です。こんにちは。」
「これはこれは。挨拶が遅れました。御剣京太郎と申します。清子の長男で、紅緒の兄です。」
そういって丁寧に頭を下げる京太郎さん。父親くらいの年齢の人にこんなに丁重な挨拶をされると逆に恐縮するな…。
というか…この人、清子さんの息子さんなのか。
でも紅緒さんって?
初めて聞く名前だ。誰だ?
そのことを聞こうとするが京太郎さんの視線はすでに他のところ――僕の後ろに立つ健に向けられていた。
「君が、次代の菊端か。」
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