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「こんにちは。九頭龍ですか。では、勲さんの…。」
「勲?ああ、先代の九頭龍か。悪いが俺はそいつの記憶、あんまりないんです。」
爽矢さんの返答に、京太郎さんは右の眉をわずかにあげた。だがすぐ笑顔に戻り
「そうですか、それは残念です。彼にはお世話になったのに。」
「すんませんね。その代り、先々代の九頭龍の記憶は鮮明なんで。」
「それは、僕が生まれる前のことだからなあ。」
はははは、と笑いあう二人に僕は空恐ろしい気分になった。それはどうやら健もだったようで、僕らは思わず顔を見合わせた。
「とりあえず、まず清子に会わせてもらってええか。」
「ええそうですね。母も喜ぶでしょう。近親者以外の見舞いなど久しぶりです。」
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