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「御当主。このような姿で堪忍してください。」
「清子はん。すまへんな。手術したばっかや言うんに。」
「いえ、どうぞお気になさらず。寧ろ皆様に態々見舞いに来てもろうて、元気がでました。それで、若様は――。」
「ああ、こっちが高天や。」
爺様に背を押され、清子さんの前に出る。
「あの…こんにちは。高天です。」
「…まあ、まあ。かわいらしい坊ちゃんやね。
今日は若様に会えると、京太郎に聞いておりましたんや。楽しみにしとりました。お会いできてうれしい限りです。
ほんまやったら、ちゃんとした形でおらなあかんかったのに、こんなんですみません。」
「いえ、こちらこそ。体調の芳しくないときに押しかけてしまったようで。」
僕の言葉に、彼女は嬉しそうに笑った。
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