第四幕

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「あの、清子さんって、何者なんです?それにさっきから紅緒って何度も聞いた名前でしたけど」  追い出された僕たちは、今の時間使用されていない、病棟の食堂に集まった。  そこで僕が投げかけた質問に答えてくれたのは、爽矢さんだった。 「紅緒は清子の娘だ。」  それはさっき京太郎さんにも聞いた。僕が知りたいのはそこじゃない。 「それは知ってます。だからなんでその紅緒さんの関係者にあわなきゃいけないんです?紅緒さんって何者なんですか?」  思わず早口でまくしたてる。 「紅緒は菊端だったものです。」  僕の質問に、部屋に入ってきた京太郎さんが答えてくれた。その表情は、気のせいだろうか、先ほどより柔らかく見える。 「菊端だったもの…?」 「つまり先代の菊端や。」  爺様が説明をくわえる。 「先代…菊端!?」  僕の反応に、京太郎さんは苦笑いだ。 「聞いていなかったのですね。」 「言わへんほうが、健の自然な反応がでてええやん。」 「ええ、それでよかったと思います。母も、現実を受け入れられる。」  そういって僕らの前に腰掛ける京太郎さん。そして 「先代の菊端、私の妹の紅緒のことは全くご存じないですか?」 「…はい。」 「ええ。」  僕と健の返答に頷くと京太郎さんは話し始めた。先代菊端――紅緒のことを。
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