第四幕

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 私の妹の紅緒が菊端としての力に目覚めたのは16歳のころでした。  いきなり遠くの会話が聞こえるようになり、それを、慕っていた親類の女性に話したところ、菊端に違いないということになりました。  紅緒はすぐに本家に呼ばれ、実家に帰ることが少なくなりました。  力を身に着け、戦うことが出来るようにと――。  あの子は上手く力を操る術を身に着けました。あの子を見つけた女性が、その術をよくご存知で、あの子にいろいろと教えてくださったので。  時代は学生運動とベトナム戦争により、日本が、そして世界が混沌の中にあったときでした。  日々のニュースは狂乱の中にあり、何が真実なのか分からない。  そんな時分でした。
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