第四幕

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 戻ったのは――指一本です。  小指の指一本。  何があったというのか――誰も答えは知りません。  遺体が返ってきただけよかった。  そう思い込もうとしました。  菖蒲様は、生きながら燃やされたのですから。  九頭龍様は、爆撃に巻き込まれて死体も帰ってこなかったのだから。    これまでの他の哨戒士だって、みんなみんなおぞましい方法で殺されてきたのだから。  でも、そんな言葉じゃあ僕も母も救われなかった。当たり前のことですが。  僕はね、あの指と最後に契りを結んだのです。母を守ると――。  その小指が返ってきて、それに触れたとき、僕は再度誓いました。  妹の分も、母を守ろうと。  妹が母に示せなかった愛情を、僕は受け継いだ。 ーーーーーーーーーー ーーーーーー
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