1章 SMS

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 亜由美は手に取ったスマホの画面を見て動揺した。  そこに表示されたのは、待ちわびたメッセージではなく、知らない番号からのショートメール。  彼が、自分に知らせずに番号を変えたのだろうか。  ……いや。だとしたら、彼の性格上、二度と連絡をよこさないはずだ。  じゃあ……? 「……ぇ?」  開いた画面を見つめ、驚きに飛び起きた。 『あなたが前から好きでした』  署名のない一文だけのメール。  …………誰?  心当たりはない。中学校からずっと、エスカレーター式に大学に上がった今でも変わらず、亜由美の周りは女子だらけだ。  一年生の秋、学祭に来た二つ年上の彼に声をかけられて付き合い始めた以外に、男性の知り合いは皆無に等しい。  間違いメールだろうか。  ブブブブ……ブブブブ……  戸惑っていると、ショートメールがもう一件。  一緒に表示された時刻は、すでに日付が変わって久しいことを教えている。  こんな深夜に突然こんなメールを寄越す人物に、ほんのちょっと興味が湧いた。  この相手も亜由美と同じく、鬱々とした想いを深夜まで抱えて持て余しているのかもしれない。 『付き合ってください』  続いて届いた文章。  ……どうしよう、こんな大切なことを……。    つかの間逡巡して、『どなたですか?間違ってませんか』それだけ返信する。   
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