1章 SMS

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「……切っていぃ?」  寝ぼけ眼で隣の部屋を気にしながら、抑えた声ですぱりと言えた。  終話ボタンを押そうと、耳から離した時、 「いいか悪いかで言えば、悪い。切っちゃダメ」  何か用事でもあるのかな。  首を傾げながら、終話ではなくスピーカーボタンを押してベッドに放った。眠い体では、持っているのも一苦労。 「…………もしかして、祐介くんの友達?」  ふと、思いついた。何かやむを得ない事態があって、代理でかけて来てるんじゃ……。 「いや、ゆうすけくんなんて知らない」 「え?」  少なからず緊張していた亜由美は、反動で、普段なら使わないようなキツイ口調で問い詰めた。 「じゃあアナタは何なの!?」 「何って……メールくれたでしょ?」  暗い声に、かすかに楽しげな響きが混じる。   「好き、って言ったらさ」  ………………あの、間違いメールのこと? 「わざわざ間違いだって教えてくれてありがとう」  目の前にいれば、たぶん丁寧に頭を下げて言われたセリフ。  でも、亜由美はなんだか素直に受け取れなかった。
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