第1章

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早く、早く消さなければ………何とか震える手で携帯電話を取り、再び画像を見る。先ほどの画面は、早くももうない。だが、いつまた出てくるかわからない。 「消去ボタン、消去ボタン……っ」 (画像を全消去しました) 「お待たせー!お風呂気持ちよかったよー。入ってきたら?」 間に合った! そんな気持ちで携帯電話を見ると……先ほどの画像が眼腔から血の涙を流している。消したはず消したはずなのに消したはずなのに……っ! ポタッ、ポタッ……と畳に赤い染みが増えていく。 息苦しい。確かめたくない。振り向きたくない。 ……だって携帯の画面には、先ほどまで笑っていた友人のぐちゃぐちゃの顔が映っているのだから。 ほら、お風呂行こうよー。ねぇ、ねぇ? 頭上から、湯水の如く降ってきたのは……紅い液体。 「っ、いやっ………いやぁあああっ!!!」
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