度胸試し

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度胸試し

 小学3年生になって 新学期にも徐々に慣れてきた ある朝のこと。 一本の電話が鳴った。 受話器をお母さんが耳にあて、 話し始める。 話し込んでいるお母さんの表情が徐々に、 深刻そうな顔になっていく。 すると、 話が終わったのか ガシャリ と 慌てた様子で受話器を戻し私の方を向いた。 「夏香!大変!おばあちゃんの容態が悪くなったって」 今にも泣き出しそうな顔でそう言った。 「え・・・?春休みの時元気だったのに・・・」 「突然倒れちゃったみたい・・・心臓発作じゃないかって  病院の先生は、 言ってるみたいだけど。 」 「・・・」 何も言えなかった。 いつも遊びに行けばお小遣いもくれて、 昔話しを色々してくれたおばあちゃんが倒れるなんて、 信じたくもなかった。 お母さんは、 慌ただしく荷造りを始める。 「お母さん。 今から行くの?」 「おばあちゃんが心配だし、 それにお父さんだってあっちにいるんだから。  いつかこうなるだろうとは、 思っていたけど・・・」 お母さんの言いかけた口が止まる。 私にも分かった。 何を言いたいのか。 「・・・わかった。 」 その一言だけを言った。
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