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そして、窓の外を見ていると、外の風景は全く身に覚えのない風景へと変わっていった。
彩芽はその時初めて隣に座っている男を怖いと感じ始めていた。
彩芽は声を上ずらせながら言う。
「ち、ちょっと、この車どこに行くんですか。私を送っていってくれるのではないのですか」と若い男を見つめ話しかける。
若い男は彩芽を見つめると
「もう少しであなたの家に着きます。黙って待ってくれませんか」と静かに言う。
彩芽はそれでもまだ納得が出来ない。
「ちょっと待ってよ。だってこの道は私のアパートへの道じゃないでしょう。おろしてください。一体、私をどこに連れて行こうとしているのですか」と若い男に言う。
若い男はにやりと笑いながら
「つけばわかりますよ」と言うとまた黙ってしまった。
彩芽は怖いと思いながらも、それ以上は何も言えなかった。
今、車を下ろしてもらっても、たぶん帰れないだろう。
ここが何処なのかわからないからタクシーを呼ぶ事さえできない。
彩芽は大きなため息を吐きながらどうして、この男に連れていかれる事になったのか早く知りたいと思った。
そして自分の家に帰る方法を考えなければならないと思うのだった。
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