いち

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昼休みの教室。 私は食べ終わった後の弁当箱を片付けて、机の上にだらんと上半身を乗せる。 「なんだよ、眠いのか?」 向かいの席に座る修(しゅう)が笑う。 隣の席の絢(あや)が、寝るなら膝を貸すよ、と言うのを聞いて、斜め向かいに座っていた郁(いく)が、なら俺に貸してー、と立ち上がり。 修が、アホか!と郁の頭を小突く。 そんな何時もの光景が微笑ましく思う。 「今日はこの後、HRで伸(しん)ちゃんの話を聞いて終わりだよなー」 「やっと夏休みね」 「受験生だから遊べないけどな」 そんな事を言い合う皆を眺めながら、夏休みかぁ、と憂鬱な気持ちになる。 伸ちゃんとは担任の先生なのだが、皆、先生とは呼ばずに親しみを籠めて『伸ちゃん』と呼ぶ。 それを良しとする伸ちゃんも伸ちゃんなのだが、その辺りが好かれるのだ。 そして。 HRは今後のスケジュールと夏休みの宿題の確認をして終了。 「問題を起こすなよー」 伸ちゃんの言葉に、はーい、と皆で返事をして、下校となる。 なので、またね、とクラスメイトと別れ教室を出た。 仲良しメンバーも今日はそれぞれ用が有るとかで、私は1人で帰路につく。 と。 「慧(けい)」 家までの道で、背後から声を掛けられ。 振り返ると、弟の叶(かなう)が走ってきた。
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