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昼休みの教室。
私は食べ終わった後の弁当箱を片付けて、机の上にだらんと上半身を乗せる。
「なんだよ、眠いのか?」
向かいの席に座る修(しゅう)が笑う。
隣の席の絢(あや)が、寝るなら膝を貸すよ、と言うのを聞いて、斜め向かいに座っていた郁(いく)が、なら俺に貸してー、と立ち上がり。
修が、アホか!と郁の頭を小突く。
そんな何時もの光景が微笑ましく思う。
「今日はこの後、HRで伸(しん)ちゃんの話を聞いて終わりだよなー」
「やっと夏休みね」
「受験生だから遊べないけどな」
そんな事を言い合う皆を眺めながら、夏休みかぁ、と憂鬱な気持ちになる。
伸ちゃんとは担任の先生なのだが、皆、先生とは呼ばずに親しみを籠めて『伸ちゃん』と呼ぶ。
それを良しとする伸ちゃんも伸ちゃんなのだが、その辺りが好かれるのだ。
そして。
HRは今後のスケジュールと夏休みの宿題の確認をして終了。
「問題を起こすなよー」
伸ちゃんの言葉に、はーい、と皆で返事をして、下校となる。
なので、またね、とクラスメイトと別れ教室を出た。
仲良しメンバーも今日はそれぞれ用が有るとかで、私は1人で帰路につく。
と。
「慧(けい)」
家までの道で、背後から声を掛けられ。
振り返ると、弟の叶(かなう)が走ってきた。
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