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どうしよう。
進路を決めた途端に、両想いになるとか。
ちょっと青くなりながら、お母さんと叶の前で、考えが纏まった報告をする事に。
「前から爽さんに言われてた留学をする事にしたんだ。だから爽さんに詳しく話を聞いて、受験する大学を決めないと。伸ちゃんに、なるべく早く進路調査書を提出する様に言われてるし」
そう言うと。
「そんなっ!」
焦った様に立ち上がる叶の足をペチッと叩いたお母さんは、それで良いのね?と聞いてきた。
「手伝わせて貰ってる仕事が楽しいし、甘えてるって言われるかも知れないけど、好きな様にやらせてくれる爽さんの下で働きたいと思った。それにはやっぱり留学しないと厳しいと思う」
自分の考えをちゃんと伝えると、お母さんは頷いて、お父さんに連絡しなくちゃね!と席を立った。
「慧、俺から離れて行っちゃうのか?」
信じられないと言う目をする叶。
叶と両想いになれるなんて、これっぽっちも思って無かったからなぁ。
「私だって離れたい訳じゃ無いよ。でも将来の事を考えると、それが最善だと思うし。行ったら殆ど日本に帰って来られそうには無いけど」
困った顔になっていたのだろうか。
戻って来たお母さんが叶の頭をペシッと叩いた。
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