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「慧の夢より自分の独占欲を優先するの?困らせてどうするの。悔しかったら、自分も留学する、くらい言いなさいよ。どうせあんたはまだ何の仕事をしたいかなんて、考えて無いんでしょ?」
お母さんの口攻撃に撃沈する叶。
拗ねながら、留学させてくれるのかよ、と呟いた。
「あんたの英語力で海外の大学に入れるならね?日本の大学でも危ないのに、それでも頑張るって言うなら構わないわよ?」
お母さんは、フフン、と笑って返していたけど、あれは、どうせ無理でしょ、と言っているのと同じだ。
それがわかってる叶は。
「無理じゃないっ!俺は慧と一緒に留学するっ!」
そう叫ぶと、ダダダーッと階段を駆け登って部屋に戻って行った。
「フフフッ、単純ねー。これで必死で勉強するわね。慧に無駄に迫る事も無いでしょ。慧も安心して受験勉強を頑張りなさい」
そう笑ったお母さん。
母親って怖いわー。
「あまり1人でボーッとしてないのよ?叶を頼りなさい。あ、英語、見てあげてくれる?慧も叶と一緒に留学したいでしょ?あ、私達の寝室のベッドの棚に置いてあるのあげるから、押し倒される前に持ってなさいね」
そう言うとお母さんは、お父さんの所に戻るわねー、と出ていった。
……母親って怖いわー。
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