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すると叶が隣に来て座った。
珍しい事もあるものだと思ったが、両親の不在の今、1人でリビングに居るのはつまらなかったのだろうか。
でも、隣に来ても黙っているのだけれど。
それでも、こうしてずっと側に居られれば良いのにな、と思い、無意識にすり寄る。
「そう言えば宿題に1日都内観察があったよね?何処に行くか決めた?」
何か話題を、と思い、そう言えば宿題があったな、と聞いてみると、突然何だよ、と言う顔をして。
「まだ」
と素っ気なく答え、スッと離れる。
「ふぅん」
一緒に行かないかと言おうと思ったが、鬱陶しがられているのか、と思い、立ち上がった。
「おやすみ」
「ああ、おやすみ」
素っ気無く言われてちょっと傷付きながら、なら1人で行くか、と、どうせなら明日行こうか、と考え。
私は自室に戻ると、クローゼットの奥から古いリュックを取り出し、出掛ける支度をしてさっさと眠った。
そして翌朝、机にメモを残して、まだ寝ている叶に何も言わずに家を出た。
さて、何処に行こうか。
都内なら、都心でも山でも良いらしい。
なら、山に行こうか。
誰も居ない所で、ゆっくりのんびりしよう。
最近、何だか精神的に疲れてるから。
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