愛しの女神様

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呼び止められて、振り返るとそこには… 「貴方が落としたのはこの金の斧ですか?それともこちらの銀の斧ですか?」 泉からでてきたのは女神様。 「いえ、どちらも落としていません。」 ピクニックの途中で僕は斧など持っていなかった。 「なんて正直者なのでしょう。でわ、この金の斧と銀の斧の両方を差し上げます。」 満面の笑みの女神様だが 「重いからいりません。」 そんな重い物を持って歩くのは嫌だった僕はキッパリと断った。 女神様から笑みが消えてとても悲しそうな顔だ…… 僕はリュックからミカンを取り出して泉へドボンと投げ込んだ。 「……………。」 「……………。」 「貴方が落としたのはこの金の斧ですか?それともこちらの銀の斧ですか?」 リピートした女神様。どうやら斧しかないようだ。 「女神様、僕が落としたのは斧ではなく貴女を想う恋の心です。」 ぽっと顔を赤らめた女神様はぶすぶすと泡になって泉の中へ沈んでいきました。 僕は泉を振り替えることなく歩き出した。 帰りは違うコースから帰ることにしよう。 しかし… 後続の参加者の男性の手には金の斧と銀の斧。そしてその後ろには女神様。 目が合うと隠れる女神様、話しかけようと近づくと逃げる女神様、 この日から女神様は僕のストーカーになったのでした。
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